英語で受身文を勉強しているので、「受身文」という文法があること自体は比較的すんなりと頭の中に入ってきました。
しかしながら、”被”には「被害を被った」という気持ちが加わるということが根本にあります。
”被”の表す不愉快・被害・迷惑のニュアンスを正しく理解していないと、日本語で受身形式の文章を中国語に翻訳するときに、被害とかのニュアンスがないのに”被”構文を使ってしまったり、意外と使い方が難しいので注意が必要です。
1. 中国語で受身を表す二つの表現方法
中国語で受身の意味を表す場合、二つの表現方法があります。
①”被”を用いない受身文
②”被”を用いる受身文
①”被”を用いない受身文(意味上の受身文)
②”被”を用いる受身文
では、①の「委員会が開かれました」を②”被”を用いる受身文で置き換えることはできるのでしょうか?
実は②の”被”を用いた受身文には置き換えられないのです。”被”は、不愉快・被害・迷惑のニュアンスがない場合には基本的には使えません。
受身=”被”構文というようにしてしまうと、この点を間違えてしまいがちなので注意が必要です。
2. “被”構文の語順
それでは、②”被”を用いた受身文について詳しく用法を纏めてみました。
“被”構文は、通常目的語になる動作の受け手を先頭に持ってきて、受身のマーカーである”被”という介詞の後に動作主を置き、その後に動詞+付加成分を持ってくるという語順になります。
なお、動詞の前に”给”を加えると、より口語的になるとともに、受身の語気を強調します
動作の受け手 + 被 + (動作主) + (给) + 動詞 + 付加成分
通常、中国語の語順は、主語+動詞+目的語と、英語と同じ語順になります。「王さんが窓を割りました」という場合、下記のような語順となります。
これを「窓」を先頭に持ってきた受身文にすると、下記のような語順に変わります。
なお、”被構文”を使用する上で、3つの注意点があります。この注意点を見ると、「どこかで勉強したような?」気がしませんか?実は注意点の2と3は「把構文」の注意点とかなり似ているのです。
これから、この3つの注意点について詳しく解説していきます。
3. “被構文”の3つの注意点
①動作主が分からない、言いたくない場合
動作主が分からない、または言いたくない場合には、動作主を省略するか、動作主の代わりに”人”を使うことができます。
窗户被小王打碎了。
窗户被打碎了。
窗户被人打碎了。
②述語動詞は動作性のある他動詞でなければならない
「把構文」と同様に述語動詞は動作性のある他動詞でなければなりません。受け手に影響を与えられるような動詞になります。
「把構文」より使える動詞の範囲が少しだけ広く、知覚動詞である”知道”、”看见”、”听见”も使えるという点が異なります。
彼は人に聞かれるのを恐れて、とても小さい声で話しました。
3. 動詞の後に付加成分(影響・変化させる)が必要
こちらも「把構文」と同様裸の動詞は使えず、動詞の後に結果・影響を与える付加成分が必要となります。付加成分となり得るのは、以下のよようなパターンとなります。
①”了”・”过”
②補語(可能補語を覗く)
「把構文」と同様に、結果補語と方向補語が使われる頻度が高いです。
③動詞の後に目的語
4. “被”以外の受身マーカー
これまで、受身文のマーカーとして”被”を紹介していますが、この”被”だけではなく、”叫”、”让”を使うこともあります。
- 被 → 書き言葉、話し言葉両方に使われる
- 叫、让 → 主に話し言葉で使われる
なお、”被”は動作主は省略可ですが、”叫”、”让”は動作主の省略はできないので、言いたくない場合には動作主として”人”を使います。これは、中国語検定2級などで正しい文章を選ぶ際の間違っている用法として出てくることが多いですので注意が必要です。
また、”被構文”は「被害を被る」ニュアンスであるということを冒頭で紹介しましたが、近年、この「被害を被る」ニュアンスから抜け出して広く使われるようになってきているそうです。
受身文はいかがでしたでしょうか? 「把構文」との共通点も多いので、こちらとセットで覚えていった方がよさそうだと感じました。
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